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福祉用語プチ辞典

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あ行

■アスペルガー症候群
ハンス・アスペルガーが指摘した自閉的傾向に関する症候群で、現在は広汎性発達障害の一つと位置づけられている。 判断基準として、@対人的相互作用の質的な障害、A意思伝達の質的な障害、B社会的、職業的、または他の重要な領域 における機能の臨床的に著しい障害を誘発している、C臨床的に著しい言語の遅れがない、D認知の発達、年齢に相応した 自己管理能力、(対人関係以外の)適応行動、および小児期における環境への好奇心などについて臨床的に明らかな遅れがない、 E他の特定の広汎性発達障害または統合失調症の基準を満たさない、などの組み合わせとしている。

■アセスメント(assessment)
援助を開始するにあたって、 問題状況を把握し理解するソーシャルワークのプロセスの一つ。 問題状況の確認、情報の収集と分析、援助の方法の選択と計画までを含む幅広い概念である。事前評価と訳されることもある。 近年では、ケアマネジメントにおいても重要なプロセスとされる。まず、クライエント自身、クライエントが抱える問題状況、 クライエントをめぐる環境などについての情報の収集を行う。そして、収集した情報をもとに問題や問題状況におけるさまざまな 相互作用、因果関係を分析・解明し、クライエントの問題状況を全般的に理解し、問題解決の方向性を見出すことになる。 アセスメントは、クライエントの身体的・心理的・社会的側面、関心・ニード・問題の側面、クライエント自身の潜在性や 動機づけの側面などから多角的になされる必要がある。

■インテーク(intake)
ケースワーク過程の最初の段階のことで、日本語では受理とされることが多い。 エンゲージメントと呼ばれることもある。またインテークのための面接を「インテーク面接」という。 インテーク終了までは相談にやってきた人を「アプリカント(申請者)」と呼ぶが、インテークの段階は アプリカントとワーカーがはじめて出会う重要な段階である。インテークにおける主な目的は、 アプリカントの問題状況・主訴・要求を明確に把握・理解し、来談理由を明確にするとともに、アプリカントの問題が その機関の目的・機能に合致するかどうかを判断することにある。インテークの最後には、当該機関で援助を展開することを アプリカントとワーカーが明確に合意する意味で援助契約が結ばれる。

■ウェルビーイング(well-being)
1946年WHO(世界保健機構)憲法草案において、「健康」を定義している記述の中で「良好な状態(well-being)」として 用いられており、近年の社会福祉分野においては、現代的ソーシャルサービスの理念としても使われる。個人の権利や自己実現が 保障され、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念である。生活保障や最低限度の生活保障の サービスのみではなく、人間的に豊かな生活の実現を支援し、人権を保障するための多様なサービスにより達成される。 国際家族年でも重要なキーワードとして掲げられた。すべての人々とさまざまなライフスタイルを尊重し、 ソーシャルサービス利用のスティグマ解消という可能性も有している概念である。

■うつ病
従来は原因不明で遺伝関係が重視された内因性精神病である双極性障害(そううつ病)のうつ病相を示したが、 近年、抑うつ気分や悲哀感等の感情障害、思考障害、意欲低下、睡眠障害、抑うつ状態の日内変動(1日の中でも 時刻によって症状が変動する)等を主症状とする情動性精神障害として広義に理解されている。
具体的には、「気分が滅入る」「考えがまとまらない」「おっくうで何もやる気が起きない」等と訴えたり、 自己を過小評価したり、自責の念や罪悪感を抱えたりする。自殺企図は、発病初期や回復期に見られることが多い。 うつ病は、喪失体験が比較的多い老年期にみられやすい精神疾患である。

■ADHD(注意欠陥多動性障害)(Attention-Deficit/HyperactivityDisorder)
児童期に発生する不注意と多動性、衝動性を特徴とする障害。アメリカ精神医学会による精神疾患の診断統計マニュアル第3版 (DSM-V)で、はじめて定義され、第4版にも引き継がれている。注意力障害と多動性をあわせもつ場合と、 どちらかが主症状の場合がある。ADHD児の特徴として、落ち着かない、注意散漫、衝動的・暴力的な行為、 学習障害などの問題によって、 学校場面で不適応状態を起こしやすく、その結果、孤立、怒りっぽい、わがまま、自己卑下などの種々の症状を呈しやすいこと などがある。


か行


さ行

■自閉症
近年、自閉症の原因は、脳の中枢神経の機能障害により起こると想定されるようになったが、中枢神経の 障害の起因、脳の部位、脳の機能などの障害のメカニズムは明らかではない。
主な症状は、環境がもつ情報を正しく意味づけられない、言葉の意味が理解できず、共感的なコミュニケーション がとれない、行動の様式や興味の対象が限局されて、同じような行動を反復する、 周囲のわずかな変化にも恐れや苦痛を感じやすい、等である。発達障害の一種と捉えられている。

た行

■知的障害
「先天性又は出産時ないし出生後早期に、脳髄になんらかの障害をうけているため、知能が未発達の状態にとどまり、 そのため精神活動が劣弱で、学習、社会生活への適応がいちじるしく困難な状態」と定義づけている。行政施策上 では知能指数(IQ)75以下のものを指し、重度(IQ25ないし20以下)、中度(IQ25ないし25〜50)、軽度(IQ50〜75程度) とされている。

■統合失調症(schizophrenia)
2002年6月に採用された名称である。人類最大の難病の1つで、全人口のほぼ0.85%にみられる。多くは青年期に発病し、 幻覚、妄想、思考障害などの陽性症状や、意欲低下、感情鈍麻、自閉などの陰性症状を呈する。症状や経過から、 普通、次の4型に分けられる。
@妄想型:比較的固定して妄想が支配的で、通常幻覚(特に幻聴や知覚障害)を伴う。人格変化は目立たない。
A破瓜型:感情の平板化と意欲低下が進行する。妄想や幻覚は一時的・断片的である。
B緊張型:緊張病性興奮(突然興奮し、多弁、多動、不眠、徘徊の状態となり、奇妙な動作、唐突な行動、滅裂な言動が目立つ) と、昏迷(無動、周囲に反応しない)を示す。
C残遺型:長期にわたる陰性症状を示し、コミュニケーション能力の乏しさ、自己管理や社会的能力の貧困を特徴とする。 薬物療法や精神療法といった医学的心理的治療のみならず、早期から、作業療法や精神科デイケアといったリハビリテーション への導入を行うとともに、地域での生活を支えていく仕組みを作っていくことが重要である。

■特定非営利活動促進法(NP0法)
非営利の社会的な民間活動を支援するための法律である。市民活動への関心が高まるなかで、1998年に議員立法によって成立した。 これにより社会的な活動をしようとする際に法人格が簡易に取得できるようになった。法人格があれば権利義務の主体となる ことができ、財産の所有、あるいは契約にも効力が生じる。2001年からは支援税制が取り入れられ、国税庁に認定された 特定非営利活動法人(認定NPO法人)には寄付者に対する税控除や特定事業の法人税が軽減される道が開かれた。 活動分野も当初は12分野だったが2003年の改正でこれに5つの分野が加わった。特に社会福祉との関係では介護保険や 障害者自立支援に参入する事業体として法人格は有用であり、また市民参加を可能とする福祉社会形成の条件整備に寄与する ことも期待されている。2009年9月末現在で、NPO法人の数は全国で3万8,000を超えている。

な行


は行

■発達障害
広義には脳の機能障害によって、高次の精神機能に生じる障害といわれている。 具体的には小児期に明らかになる認知、行動、運動、言語、社会的技能の獲得の障害として規定される。 また、情緒の発達にも影響を及ぼす。 今日では、精神遅滞(知的障害)を含まず、自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害(LD)、 注意欠陥多動性障害(ADHD)などが狭義の発達障害として記載されることが多い。

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ら行


わ行


英行


参考文献
山縣文治,柏女霊峰.社会福祉用語辞典:福祉新時代の新しいスタンダード.第8版、ミネルヴァ書房、2010、389p